電子工作をやっていると、はんだ付けを外したいことがよくあると思います。取り付け方向や部品を間違えてはんだ付けしてしてしまったとき、修理や改造をするとき、ジャンク基板から部品を取りたいとき…など。今回は、そんなときに使う道具をご紹介します。(動画付き:※動画は記事の一番下へ)
(1) はんだ吸取線
極細導線をテープ状に編んでフラックス(はんだの中に入っているヤニ)を染みこませてあるもので、これを患部(?)に当てて、その上からはんだごてを押し当て使います。はんだが溶けると同時に吸取線に染みこむように吸い取られていきます。(毛細管現象の利用!) はんだが染みこんだところは切り捨てながら使うのですが、お値段も300円前後と最もお手軽です 注意点は、吸取線を加熱して使うので、はんだごてが細くとがっているタイプだと熱が伝りにくく、なかなかうまくいかないことがあります。こて先を「点」で当てるのではなく、はんだごてを寝せて「線」で当てるようにしましょう。吸取線の幅が細いものほうが温度が上がりやすいので、できるだけ細い(1.5~2mm)のものを選んだ方が良いです。
(2) 手動式はんだ吸取器
注射器にバネを付けたような構造の器具です。ピストンを押し縮めるとロックし、ボタンを押すとバネの力でピストンが一気に引き上げられて吸い込むようになっています。その様子から、EK社内では「スッポン」と呼んでいます。はんだごてで患部のはんだを溶かし、溶けている間に吸い込まなければいけません。吸い込むときは周囲の空気を一緒に吸い込むために冷却されてはんだはあっという間に固まってしまうので、作業はスピードとコツが要求されます。はんだごてを離してから吸取器を当てても全然間に合いませんので、同時に当てておかなければいけません。価格は1000~2500円くらいです。
(3) 電動式はんだ吸取器
はんだごての先に穴があいていて、電動ポンプで掃除機のように吸い込む方式の器具です。動作音から社内では「ズゴゴゴ」と呼んでいます。なにせ、加熱と吸込みの機能が一体なので、とくにワザも必要なく、キレイに効率よく吸い取ってくれます。ですが、安いものでも3万円くらいするのと、吸い込んだはんだなどが酸化してしょっちゅう穴の奥が詰まり、メンテが面倒なのでご家庭用にはあまりおすすめしません。ただ、両面基板の場合は穴の内壁にも銅が張ってあり(スルーホールメッキ)、穴の中のはんだまで吸い取るにはやはりこの加熱しながら吸い込むタイプでないと難しいようです。そこで両面基板を扱うご家庭(?)にはこれがイチオシなのが(4)です。
(4) ヒーター付き手動式はんだ吸取器
(3)のポンプが電動ではなく(2)の方式です。使った感じでは吸取り性能は(3)とあまり変わらないです。4500円前後で、吸込み穴も意外と詰まりにくく、価格・メンテとも(3)よりかなり手軽です。ただ、このタイプを発売しているメーカーは1社しかないように思いますので、興味のある方は”HSK-100″で検索してみてください。
最近は無鉛はんだが主流になってきましたが、無鉛はんだは一般的に有鉛はんだよりも融点が高かったり流動性が悪かったりするので、吸い取りにくいことがあります。このようなときはいったん有鉛はんだ(もしくは流動性の良い無鉛はんだ)を盛ると吸い取りやすくなります。2本足の部品なら、部品を引っ張りながらはんだごてで暖めるだけでも片足ずつ抜くこともできます。そのとき部品に引っかけて引っ張るための道具もありますが、そばに転がっている電子部品の足先をフック状に曲げるだけで充分用を足します。(抵抗よりは、足が細くて硬いダイオードのほうが向いています…笑)