アンプラ…アンプラグ……なに…?
何やら難しそうな横文字がタイトルに出てきました。
パソコンを使わない「アンプラグド・プログラミング」
最近、小学校へのプログラミング教育の導入が話題になっておりますが、これは必ずしもパソコンを使わなければならないということはなく、
- 解決すべき課題を発見する
- 解決策を考える、試行錯誤する
- 課題を解決する
といった問題を解決するためのプロセスを論理的に考える「プログラミング的思考」を身に着ける事が目的とされています。
パソコンを使ったプログラミングの授業では、子供たちが簡単に扱えるようなアプリケーションも増えてきましたが、マウスやキーボードなどのパソコンの基本的な使い方に慣れていない子供たちにとっては、いきなりプログラミングを始めるのはハードルが高いため、本質的に伝えたいところまでなかなか到達できないという問題点もあります。
そこで近年注目されているのが「アンプラグド」です。
アンプラグドというのはその名の通り、(電源の)プラグを挿さない→パソコンを使わないという意味で、「コンピューターを使わないプログラミング教育の手法」とされております。
2018年春、ELEKITは国内外で注目を集めているこどものためのワークショップ博覧会「ワークショップコレクションin福岡2018」にて、くらしの中の課題解決力育成のための電子回路モジュール「PIECE」を使ってワークショップ「アンプラグド・プログラミングを体験しよう」を実施しました。
ワークショップコレクションin福岡
東京・仙台・大阪など全国各地で開催され国内外で最も注目を浴びている、子供たちの学びにつながるワークショップ博覧会「ワークショップコレクション」。
2018年3月31日~4月1日に開催されたワークショップコレクションの会場は福岡市科学館です。
会場は「福岡市科学館」。福岡市地下鉄 六本松駅の目の前です。
会場内はたいへん賑わっておりました
こんなかわいいお面を作って会場内を歩く子供たちも。
「未来のクルマをつくってみよう」。ワクワクしますね!
一方、ELEKITのブースは…
アンプラ……アンプラグド・プログラミング…?
何をするのかイマイチわからないワークショップのタイトルですね。
しかし昨今の「プログラミング教育」に対して興味を持ってくださっている方々にとって「プログラミング」はホットワード。
そんな社会の動きに目を向けている方々に興味を持っていただけると…うれしい…!という思いからこんなタイトルになりました。
ワークショップをはじめます!
PIECEのモジュールをつないでみよう
まずは、PIECEの電源モジュールにモーターやセンサーをつないでみて、「光センサーに光が当たると、モーターが回る」「音センサーをつけて拍手をすると…」「振動センサーをつけてPIECEをシェイクすると…」と、モジュールを付け替えながらセンサーのしくみを学びます。
「振動を感知したらお知らせしてくれる装置って生活の中にもあります。何かわかるかな?」と問いかけると、
子供たち「地震警報器!!」
と答えてくれました。さすがですね。
生活な中で自動化されているものはいっぱいあります。
地震警報器以外にも、人を感知したら点灯するライトや自動ドアなど、いろんなものがありますね。
たくさんの親子にご参加いただきました!
「いつもお家の人に怒られることって何だろう?」
さあ、ここでPIECEを使ってみんなのくらしで困ったことを解決したり、面白くしたりするような発明をしてみましょう。
今回のテーマは「いつもお家の人に怒られることって何だろう?」です。
普段どんなことで怒られるかな?
私が子供のときはよく「ちゃんと靴を揃えて家に上がりなさい」「ちゃんとドアを閉めなさい」「またなんか忘れたんね」と怒られることがありました。
できれば怒られないようにしたいところですが、どうしても他のことに夢中になってやるべきことを忘れ、やっぱり怒られます。あるある。
今回はそんなついつい忘れてしまう、ついついやってしまうことを未然にお知らせしてくれるロボットをPIECEで作ります。
いろんなアイデアが出てくる出てくる
母「アンタ、片付けせんでいっつも怒られよるよねw」
子「へへへww」
こんな微笑ましい会話を楽しみながらいろんなアイデアが出てきます。
電気をつけっぱなしで寝てしまう、トイレのドアを開けたままにしてしまう、帰ってからの勉強を忘れてしまう、朝起きずに寝坊してしまう、ゲームをやりすぎてしまう…など、いろんな怒られ要素が出てきます。
どれも心当たりがあるせいか、「あるある~」ってついつい言っちゃいます。
どうぶつの絵の吹き出しに「電気消そうね~」「朝だよ~」のようなお知らせメッセージを書きます
メッセージを言ってほしいタイミングはいつだろう?
メッセージをお知らせしてくれるロボットをつくっても、お知らせのタイミングがデタラメではいけません。
電気を消灯しているのに「電気を消そうね」と言われても…というかんじですよね。
適切なタイミングでお知らせしてもらうために、センサーをうまく使います。
みんないろんなセンサーを付け替えたり、「音センサーと光センサーを同時に使えたら…?」と積極的に複雑な回路を次々と考えます。
論理モジュールの「AND」や「OR」は使わない予定だったのですが、アドバイスなしでも使いこなす子供たちも出てきました。
また、「朝7時になったら知らせてくれるロボット」を作りたいとき、時刻をお知らせするモジュールがないため、「朝7時にセットした目覚まし時計のアラーム音を音センサーで検知したら…」と周りの物と組み合わせることでやりたいことを実現している子供たちもいて、本当にすごい想像力に驚かされました。
ロボットが完成するとこんなかんじになります。
光センサーを使っており、センサーに光が入ると「電気がついている」ので「でんきをけそうね~」とアピールしてくれます。
逆にセンサーに光が入らない(ここでは手をかざす)と「電気が消えている」のでアピールをやめて止まります。
こんな発明品が生まれました
子供たちがワークショップで作ってくれた作品は作って終わりでなく、しっかりと周りのみんなに向けて発表をしていただきました。
自分で考えた発明品をわかりやすく周りに伝えることができていて素晴らしかったです。
ここで子供たちが考え、PIECEで作ってくれたアイデアをいくつかご紹介します!
①ご飯を食べるときに左手がテーブルの下に隠れると知らせてくれるロボット
「食事中に片手だけ隠れてるのは行儀が悪いですよ」と言われることがありますよね。
そんなときにはこのロボット。
光センサーを左手につけることで、左手がテーブルの下に隠れると(光センサーに入る光が暗くなるので)それに反応してロボットが知らせてくれます。
テープで手の甲に光センサーを装着。ウェアラブルデバイスを発明したぞ!
②貧乏ゆすりをしたら知らせてくれるロボット
ついついやってしまう貧乏ゆすり。なんとかしたいですよね。
そんなときはこのロボット。
振動センサーを膝につけて、揺れを検知するとロボットが知らせてくれます。
「貧乏ゆすり」という秀逸なセンス
みんなが作ったのはどこにも売られていない、世界にひとつだけの発明品です
たくさんの方にこのワークショップに参加していただきましたが、出てくるアイデアは十人十色でユニークなアイデアばかり。
同じグループで3人が「朝起こしてくれるロボット」を作っていても、その起こし方や使っているセンサーの組み合わせに同じものはありませんでした。
発明のきっかけとなるアイデアを親子で話し合い、ロボットの動かし方を決めて、センサーの組み合わせを試行錯誤し、最後にみんなに向けて発表。
ワークショップは30分という短い時間でしたが、今回やってきたことはまさに発明のプロセスそのものです。
世の中で売られている製品を使うだけでなく、自分が「あったらいいな」と思うものがあれば試しに作ってみるというのも面白いですよね。
今回、PIECEで発明をしてくれた子供たちの中から将来すごい発明品を作ってしまう人が出てくるかもしれませんね。