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真空管の役割とは、アンプの必要性とは。

ついに今月15日、限定生産品の300Bシングル真空管アンプキットが出荷開始です!


そこで今回は【アンプ初心者・電子回路初心者】の私が、勉強を兼ねて記事を作る事にしました。

※この記事は、真空管アンプ初心者どころか電子回路についても基礎しか分からない社員が書いたものです。
内容はチェックされていますが、これに起因するトラブル等は保証できかねます。
あくまで知識の一助としてください。

300Bシングル真空管アンプキット(TU-8600)で使用する真空管は、以下の通りです。
出力管 300B × 2本
電圧増幅管 12AX7 × 1本
電圧増幅管 12AU7 × 2本

しかし!TU-8600には真空管が付属しません。
いざ完全初心者が作ろうとすると、真空管を調達しなきゃいけないんです。
真空管のオススメを先輩に聞いてポチれば一番簡単なのですが、それでは勉強になりません。
今回はまず、そもそもとして真空管アンプの仕様によく記載されている、出力管や電圧増幅管とは何か…何をするための部品なのかを勉強していきたいと思います。


電圧増幅管とは

プリ管とも呼ばれるものです。
オーディオプレーヤーの出力信号はかなり微弱で、このままではスピーカーのコイルを振動させることができません。
電圧増幅管は、この出力信号の電圧を増幅するために使用しています。

出力管とは

パワー管とも呼ばれるもので、
電圧増幅管で増幅された電気信号を、スピーカーのコイルを振動させるために、更に電圧と電流を増幅するために使用しています。
比較的大型で、目立つ管球が多いようです。

なるほど、電圧と電流を増幅するってことね。アンプというものが、そういう回路の事を指すのは何となく分かる。


ところで、何で電圧と電流を増幅させなきゃいけないのか?アンプの必要性とは?


音楽の電気信号は、普通の電気信号みたいに電圧と電流が存在するようです。
また、スピーカーやヘッドホンに信号を流す時、インピーダンスと呼ばれるものが抵抗になります。
ここでは中学理科で学んだやつが役に立ちます。

V(電圧) = I(電流) × R(抵抗)

音楽の電気信号をスピーカーで鳴らす時、
オーディオプレーヤーの出力信号は0.5V50mW程度だそうです。
また、スピーカーのインピーダンスは大体4~8Ω程度。
これをこのまま当てはめて、オーディオプレーヤーを直接スピーカーに繋いだ時の出力を調べてみましょう。
まずは電流を計算してみます。

0.5[V] = I × 8[Ω]
I = 0.0625 となり、電流は0.0625A(60mA)流れていることが分かります。

そして今度は、最終的に必要なスピーカーの音量(出力)を計算します。
そうすると、

P(電力) = I(電流) × V(電圧)

先程の電流を出した式を代入して、

P = 0.0625[A] × 0.5[V]
P = 0.03125

大体2Wくらいの出力があれば、一般的な個室で視聴する場合の音量になるそうですが…
なんてこった…オーディオプレーヤーをそのままスピーカーに繋いだら、たった0.03Wしか出力できません。
これじゃほぼ音が聞こえないんじゃないでしょうか…。

だから、信号を増幅して出力を増やす必要がある=アンプを使う というわけですね。

では、試しに電圧を10倍に増幅してみましょう。

0.5[V] × 10[倍] = 5[V] = I × 8[Ω]
I = 0.625

P = 0.625[A]×5[V]
P = 3.125

いい感じに3Wくらいになりました。
この電圧を増幅させるために使うのが、電圧増幅管(プリ管)だそうです。

そして、最初に設定したオーディオプレーヤーの出力信号、50mW0.5V場合、どれくらいの電流が流れているのでしょう?

50[mW]
= 0.5[V] × I
I = 0.1

電流は0.1A流れているようです。
とすると、この0.1Aを、電圧を10倍に増やした時の式にある0.625Aまで増幅できる状態にする必要があります。

0.625[A] = 0.1[A] × X
X = 6.25

となり、電流は6.25倍まで増幅できる状態にすればいいですね。
この電流を取り出すために使うのが、出力管(パワー管)です。

※電圧は増幅(昇圧)するという表現をしますが、電流はそのものを増幅するわけでなく、電圧に応じて(比例して)増減するものです。
なのでこの場合、常に6.25倍に増幅されているわけではなく、最大で6.25倍の電流を取り出せるような出力管を使えばいい、ということのようです。


というわけで、今回は音楽の電気信号を増幅する事について勉強してみました。
これでそれぞれの役割についてなんとなく理解が出来たので、
次回は、電圧増幅と電力増幅に使う真空管についてもう少し勉強します。
そのあと、それぞれの管について、最近のトレンドや、実際に購入できる真空管を探していきたいと思います。

この記事を読んで感想やご意見などございましたら、
詳しい方、ぜひコメントでご指摘や補足をしてください!
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ではまた!

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