製品レビュー 開発よもやま話

多極管シングルパワーアンプキット [ TU-8400 ] リリース!

こんにちは、開発部のフヂです。

9月中旬に、オクタルベース(US 8ピン)のメジャーな出力管が手軽にいろいろ使える 多極管シングルパワーアンプキット [ TU-8400 ] がリリースされます。
仕様的には、長年ご好評をいただいた[TU-8200R]と、昨年リリースされた兄貴的モデルである[TU-8850](限定生産モデル)との、中間的なクラスのモデルといえるでしょう。おもに TU-8200R との違いを技術的観点からご紹介していきましょう。

 

まずは外観から。 幅と奥行が TU-8200R と同寸法の筐体ですが、シルバー系からブラックサテン塗装となり、やけど防止のセイフティカバー(ボンネット)が付属となりました。

回路構成は TU-8200R も TU-8400 も「パワーアンプ」ですが、8200R ではプリアンプなしでも手軽に使用できるように、電圧増幅は 12AU7 2段のややゲインが高めの設定にしていました。これは便利ではあるのですが、プリアンプを接続するには少し使いづらいというご意見もいただいておりました。そこで 8400 では 12AX7 1段に変更しプリアンプ接続で使いやすい構成に改めました。
しかし、ちょっとスマホやポタプレをつないで手軽に聴きたいということも良くあります。そこで背面のRCAジャック入力とは別に、前面にミニジャック入力を設け、そちらにはオペアンプによるプリアンプ回路を入れましたので、二刀流の使い方ができます。

出力管のバイアス方式は、初代 TU-8200 で初採用以来、長年上位機種で進化してきた「アクティブオートバイアス」方式です。いろいろな球種に対応できるのはもちろんなのですが、使用可能な球種の幅が TU-8200系よりも拡がりました。
まず大型管への対応。8200系ではヒーター電源の電流容量から、ヒーター電流が1.6A程度までの出力管、つまり KT88 や KT90 あたりまでという制限がありました。8400 では電源トランスを一回り大きくし、最近人気の KT150 や KT170 も使用できるようになりました。ただし、これらの背が高い球を装着すると、セイフティカバーは取り付けできませんのでご注意ください。
また大型管は電源投入から動作開始するまでのウォーミングアップ時間が長い(イライラ!)という欠点もあるので、普段使いには KT88 あたりまでがおすすめです。
一方で小型管への対応も。TU-8200系 は 6L6GC 前提の設計であったため、それ以前の 6L6G や 6L6 等は使用できませんでしたが、B電圧をわずかに低くすることにより対応可能になりました。
さらにパワーモード切換スイッチも装備し、さらに小型ながら今でも人気の 6V6 等にも対応できるようになりました。

ヘッドホンやイヤホン対応はもちろん継承していますが、上級機と同様にヘッドホン出力でのDFも考慮されていますので「音のキレ」の向上を感じていただけるかと思います。
また、ヘッドホンの能率に合わせるためのレベル切換のジャンパーへのアクセスもフロントパネルを外すだけで現れますので、 8200R よりも格段に楽になりました。

使用部品について。抵抗器は、8200系では1/2W小形化品(いわゆる1/4Wサイズ)を採用していましたが、グレードアップのために旧1/2サイズの抵抗に無理矢理交換されている例を多くお見掛けしていましたので、8400では旧1/2Wサイズで設計し、オーディオフリークに人気があるタクマン電子製の抵抗を採用しています。
カップリングコンデンサのサイズ制限についても 8200系では Φ18×L27mm まででしたが、8400 では Φ20**×L36 まで対応しました。(耐圧400V以上、0.1µF、2個。**実際には Φ23くらいまでは全く問題ないことを確認済みです。)

では、秋の夜長にはいい音楽を聴いて過ごしましょう!

 

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