私が電子工作に興味を持ったのは中学生のころ、増幅素子として真空管から半導体に移り変った時期でオーディオメーカーも競って半導体式のアンプを出していました。
トランジスタは真空管に比べ手軽に安く工作ができるのが面白くて、色々なセンサーものや簡単なラジオなどを作った記憶があります。
高校生になってオーディオに興味を持ち、高校、大学とアンプを作りつづけました。
もちろん半導体を使ったものばかり、真空管は全く興味がない、というよりお金がなかったから高額なトランスを多く使う真空管アンプは作れなかった。
それと半導体アンプは周波数特性が良く、歪も非常に少ない、ダンピングファクターも大きい。それに比べると真空管アンプは・・・・
てな感じで、どんなアンプが良いアンプなんだろう、と考えた時に出した答えが、原音というか入ってきた信号を正確に増幅すること、入ってきた信号に何もたさず、何も引かずただ増幅するもの。
これはエレキットに入るまでオーディオに対してずっと思い続けてきた考えでした。
でも、違うんですよ。違うことに気がついたんです。
真空管アンプの特性は半導体アンプに比べると大きく劣るけど、出てくる音は あたたかく、何て言うか・・・心に響く音なんですよね。
えー、前置きが長くなってしましましたが、ここからが本題。
今回発売する「真空管ハイブリッドポータブルアンプ」TU-HP03の開発は、 真空管アンプの持つ潤いのある柔らかい音を多くの方に楽しんで頂いた TU-HP01をもっと進化させたいという思いから始まったものです。
ドライブ能力を大きくしたい。セパレーションを良くしたい、オペアンプの交換を楽しんでもらいたい、ノイズを小さくしたい、などなど持たせたい内容は盛りだくさん。
なので、
ドライブ能力を大きくするのならオペアンプの後にバッファーを入れればいいじゃん。でもデュアルタイプのオペアンプを使うとどうしてもセパレーションが落ちてしまうしシングルタイプのオペアンプは高価だし・・・・・・
そこで、
デュアルオペアンプの素子をパラに使えばドライブ能力は大きくできるよな・・・
デュアルオペアンプを左右別々に1本ずつ使えばセパレーションも良くなるよな・・・
デュアルオペアンプなら比較的安価に入手ができて手軽にオペアンプの交換で音の違いを楽しんでもらえるよな・・・
良いこと尽くめじゃん!!! てなことでデュアルオペアンプの2本使いに決定!
あとはノイズ!!
感度の高いイヤホンを使用すると無音時のバックグラウンドで「サー」と聞こえるホワイトノイズ。
オペアンプを単電源で使うと出力部分とイヤホンの間に容量の大きなコンデンサーを入れる必要があります。
でもこのコンデンサーが音に悪影響を与えるので、取り除くためにオペアンプに±電圧を供給してるんです。
この「サー」というホワイトノイズは、±電圧を作り出すために使う電圧コンバーターから出ちゃうんですよね。
それと、エレキットが使っているサブミニチュア管は、使用時間を長くするために直熱タイプのものを使ってます。
真空管はRaytheonの6418。この真空管はフィラメントにかける電圧は1.2V、流す電流が20mAと小さく、電池の消耗を抑えることができて熱の発生もほとんどありません。
その代わりにフィラメントが弦のようにピーン、と張られているので外部からのショックを与えると振動して「キーン」というノイズ、所謂マイクロフォニックノイズが発生してしまいます。
このあたりのノイズ対策は、開発の ”ふぢ” が部品の選定といろいろ知恵を出してくれてTU-HP01に比べるとかなり小さなレベルまで落とすことができました。
ということで出来上がったTU-HP03は真空管の柔らかさを持ちながらノイズのないクリアな音に仕上がりました。
TU-HP03の発売は1月末予定。
もっと多くの方が真空管アンプの「魅力ある音」を体験してファンになってほしいと願っています。
TU-HP02は短命に終わってしまいましたが、新モデルTU-HP03に期待しています。
ところで、スペックなどを見て気になる点というか、質問があります。
Q.1 同じ単三形電池を4本使用したTU-HP02では連続稼働時間は30時間だったのに対し、TU-HP03は15時間となっています。TU-HP02並の稼働時間を確保するのは困難だったのでしょうか。
Q.2 TU-HP01ではオーディオ用オペアンプMUSES 8820が搭載されていましたが、TU-HP03ではNJM2114となっています。これは単純にコストアップを避けるための選択で、実際にはMUSESシリーズを使用することは可能でしょうか。
Q.3 写真には両端L字型の接続ケーブルが写っていますが、このケーブルが付属するのでしょうか。
以上、ご回答を頂ければ幸いです。
三毛ランジェロさん
ご質問いただきありがとうございます。
下記にご質問について回答させていただきます。
Q.1:連続稼働時間ですがTU-HP03ではオペアンプを左右に1本ずつの2本使いとなっています、そのため消費電流も2倍となりますので稼働時間も短くなってしまいます。
Q.2:標準で添付しているオペアンプはコストを重視していますが、ドライブ能力が大きく音質の優れたNJM2114を採用しています。
差し替えできるオペアンプは ±5V以内で使用できるオペアンプであればOKです。MUSESシリーズではMUSES02が使用できます。MUSES01は ±9V以上必要なため使用はできません。
Q.3:TU-HP03には黒いストレートタイプのケーブルが付属しています。使用イメージ写真に写っているケーブルは私の私物です。申し訳ありません。
以上、よろしくお願いいたします。
営業部 マサ
TU-HP03を購入させて頂きさっそく楽しませて頂いてます!
とても面白く、そして機能美にあふれた製品と感じています。
DAPが隆盛のこの時代によくぞこの様なアイテムを輩出してくださったと感謝しております。
ところでOP275やLT1364、LME49720、49860は仕様上交換は可能ですか?
えっちらこっちらググってはみてるのですが01で初めてオペアンプの交換をしてみたという初心者なもので
どこが「±5V以内」に相当するスペック部なのかいまいち確定できないというw
これからも随時勉強していくつもりですが教えて頂けると嬉しいです!
しるばぁさん
TU-HP03をご使用いただきありがとうございます。
ご質問いただいた4種類のオペアンプですが、どれも±5Vで動作するようです。
でも、LME49720は弊社でもテストしたことがありますがなぜかTU-HP01の時もそうでしたが
TU-HP03でもノイズが出たため使用しませんでした。
すべてのオペアンプでチェックできておらず申し訳ありません。
営業部 まさ