リニューアルして快適な空間に生まれ変わったエレキット社屋のエントランスでは、2月の隔週土曜日に「エレキット パソコンを使わないプログラミング教室」を開催中です。この教室では、モジュールどうしを組み合わせることでプログラミングが学べる「PIECE」を使用しています。
ここでは、2月1日に行われた教室の様子をレポートします。
はじめに
今回は小学校1~3年生を対象教室と、4~6年生の教室の2つがあります。内容はどちらの教室も同じですが、高学年の教室では使用するモジュールの数を増やした構成となっています。
今回の教室の流れは次のようになっています。
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からだをつかってプログラミングをたいけんしよう
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PIECE(ピース)のつかいかたをまなぼう
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そうちをつくるれんしゅう
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くらしにやくだつそうちをはつめいしよう
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まとめ
からだをつかってプログラミングをたいけんしよう
まず身の回りにある「〇〇すると、△△する」ものを例に、センサーと動力について学びます。火災報知機や自動ドアなど、身の回りには数多くの「〇〇すると、△△する」があることがわかります。
そこで、人間の体のセンサー(目や耳など)と動力(手や足など)を使って、「〇〇すると、△△する」アクティビティーを行います。赤・白の旗を見て手足を動かしたり、音が鳴ったら手ばたきをしたりと、まさにプログラミングの「〇〇すると、△△する」を体を使って体験します。
PIECE(ピース)のつかいかたをまなぼう
この教室で実際に使用するPIECEのモジュールについて、どのような働きをするかを学んだあと、自由にモジュールを組み合わせてどのような動きをするか試してみます。
体を使ったアクティビティーを行っていたため「〇〇すると、△△する」というプログラミングの基本である考え方が自然と理解できていたようで、PIECEのモジュールの組み合わせの考え方も迷うことなくわかってもらえたようでした。
そうちをつくるれんしゅう
「ボタンを押すと音が鳴る装置」や「暗くなったら光るスタンド」などのお題をもとに、それをPIECEのモジュールをどのようにつないでいくと課題通りの装置ができるかを行います。
あらかじめPIECEを組み込んで作成していた装置を子どもたちに見せると「お~!」という声が上がりました。例えば次の動画はPIECEを扇風機に見立てた装置です。実際に装置として組み込まれたものを見ると、自分がつくったものが「モジュールの組み合わせ」ではなく、実際に役に立つ「装置」としてとらえてもらうための工夫です。
最初の課題は「ボタンを押すと音が鳴る装置」のように「〇〇すると、△△する」が具体的に示されていますが、課題が進むにつれて「びんぼうゆすりをとめる装置」や「すごいびっくり箱」など、より抽象的なお題が出されます。この課題を「〇〇すると、△△する」という言葉に置き換えることができるかが重要になります。
くらしにやくだつそうちをはつめいしよう
いくつかの写真を見て写っている画像の中にある問題点が何かを考えます。その問題点を解決するためにはセンサーやロジック、出力のモジュールをどのように組み合わせて問題を解決するかを考えることが「プログラミング的思考」なのです。お題として使用した画像は例えば次のようなものです。皆さんは次の画像に含まれる問題点が何だか分かりますか?
写真の中にはどのような問題が潜んでいるのかを見つけることが難しいものがあったり、特に低学年の子どもにはちょっと難しいかな、と思っていました。実際、問題解決のレベルが高いものでは子どもたちが悩む場面もありましたが、センサーを複数個使用してORやANDモジュールをうまく使った独創的なアイデアなど、最後はみんな見事に課題を解決することができました。
問題が解決できたら「アイデアワークシート」を作成します。
アイデアワークシートは写真の中の問題点やその解決するためにどのように考えたか、使用したPIECEのモジュールを記入します。そのシートを使って、自分が作った装置をみんなの前で発表します。発表する子どもたちは自分の考えを一生懸命にプレゼンしてくれました。子どもたちが書いたワークシートをいくつか示してみます。どれも単なる日常の風景から課題を読み解き、○○すると△△する装置までしっかり考えられています。お見事!
まとめ
来年度から学校でも始まるプログラミング学習についてお話させていただきました。子どもたちには今回の教室を通して「プログラミングとは何か」、「なぜプログラミングが必要か」などについて、保護者の方には学校で始まるプログラミング教育とは何を学ぶのかやそれにより目指す目標などを説明させていただきました。
文部科学省による「小学校プログラミング教育の手引き」によれば、プログラミング教育を通じて次の資質・能力を育成すること、とされています。
- 知識及び技能:身近な生活でコンピューターが活用されていることや問題の解決には必要な手順があることに気づくこと
- 思考力、判断力、表現力等:プログラミング的思考(自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力)
- 学びに向かう力、人間性等:コンピューターの動きをよりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度
今回行ったPIECEのワークショップは、身近な課題を読み解いて、○○すると△△する装置を発明していくことを通じて、プログラミング的思考を育成することを意図して開発しました。今回のワークショップを通じて、身近な装置(自動ドアや自動販売機等)がどのような動きの組み合わせでできているのかちょっと考えてみてもらったり、だったら自分にもできそう!と思ってもらえたりすると、私たちにとって望外の喜びです。