電子工作日記

Nintendo SwitchのJoy-Conを自分で修理する

※※この記事の内容を参考にする際は、必ず自己責任で行ってください。
ELEKIT VOICE及び株式会社イーケイジャパンは一切の責任を負いかねます。
特にリチウム電池をショートさせると危険ですので、お気をつけください。※※

という前置きをして。
ネットでよく見かけるJoy-Conのスティックが壊れる報告。
私のJoy-Conもついに症状が出てきました。

無負荷状態で左に歩き出してしまうという…つまり例えば、
ブレワイをプレイ中、朝を待つか~と放置してたらボコブリンの巣まで勝手に歩いて行ってゲームオーバーとか。
スプラで潜伏してる時に勝手に動いて、ボムを喰らってしまうとか。
これじゃゲームを楽じめ゛な゛い゛!!

というわけで、スティック部品を自分で交換して、修理してみましょう。

ちなみに難易度としては、
エレキットの難易度4以上のキットを作った事があれば作業できると思います。
道具を揃えて落ち着いて作業すれば簡単です。
失敗したらJoy-Con買い直しですが、もともと壊れてるから失敗しても怖くない。
こういう分解修理は勉強になるので、恐れず挑戦してみてほしいと思います。
※メーカー保証期間内であれば修理に出すべきですので、まずは保証書を確認しましょうね。

用意するもの

交換用スティック…純正のスティック部品だけを購入することはできないので、amazonで売っているものを使います。だいたい中国製。
工具一式
ケースのネジ用にY字ドライバー。
内部のネジ用に+ドライバーの0番。
ケースを外すのにカードやピック型の薄い板。
コネクタを外したり付けるのにピンセットと爪楊枝。

今回はスティックと工具がセットになった商品を買ったので、別途買う必要はありません。
ただ精度が非常に悪く歪んでたりします。ので、気になる方はイイ工具を買いましょう。
最近はこういった用途にも使える、スマホやノートPCなどの分解に向いた工具セットが色々売られてます。

また、作業時はゴムやシリコン製のマットがあると良いです。
滑り止めになるし、普通の机だと落とした部品がカツーンと跳ねて消えてしまうので。
オススメははんだ付けに対応したもの。電子工作用のはんだごては300℃くらいなので、500℃くらいの耐熱性があるものを選ぶといいです。

参考にしたもの

IFIXIT https://jp.ifixit.com/Device/Joy-Con
修理と言えばまずココ。Nintendo Switchに関するレポートも掲載されています。
IFIXITさえ読めば、実はこの記事を読む必要はなかったりします。
ただサラツと書かれているので、初心者向けではなかったり…。
個人的に気になったポイントを中心に記事を書きますので、両方読んでみてください。

作業の準備

まず、Joy-Conとスティック、工具一式を用意します。

工具でまず目を惹くのは筆。ホコリや線の切れ端を払うのかな?
あと吸盤。液晶ディスプレイを付け外しする時に使うような工具でしょう。(Joy-Conでは使わない)
いわゆるスマホの分解修理用として用意されているセットだと思います。

ただ、この工具なんですが…見ての通り精度が悪い。
ドライバーなんてビックリするくらい歪んでます。
オマケなので仕方ないですが、ネジの頭をナメないよう慎重に使うことにします。

スティックは見たところ普通で、純正品とほぼ同じ気がします。
背面カバーは金属製だし、フレキケーブルも違和感ない。

では、L側から作業していきます。

まず4箇所のYねじを外します。
タッピングっぽいので慎重に。

フレキケーブルが繋がっているので、慎重に慎重に開きます。

バッテリーのコネクターをはずし、バッテリーを取り外します。
バッテリーは両面テープで固定されているので、ゆっくり剥がします。
こういった作業の基本ですが、電源はなるべく早いタイミングで外します。
コンセントに繋ぐ機械なら作業前に、バッテリーなら外せるようになった瞬間にやりましょう。

中蓋のネジを外し、またフレキケーブルに気をつけながら中蓋を外します。

中蓋のフレキは邪魔なので、コネクタから外します。
フレキを外すときはピンセットかスパッジャーを使ってロック(ツメ)を起こします。
ツメの向きが分かりづらいんですが、よく観察してみてください。

スティックのねじを外し、スティックを取り出します。
実は一度メンテナンス※していた際に、ツメが折れたのでカプトンテープで固定してました。
なのでこのスティックにはテープが巻いてあります。
(※メンテナンス:スティックの中身を開いて掃除しました。)
掃除してもあまり改善しなかったので、スティック買い換えた方が早くて確実です。

スティックの先端を外す際、丸い穴の周囲に貼ってある不織布みたいな黒いシートが引っかかりやすかったです。
ゆっくり作業してください。

スティックを換装したら、あとは元通りに組み直します。

L側は比較的あっさり終わりました。
気をつけるのはフレキケーブルを切らないことと、バッテリーをショートさせないことですね。
金属製のピンセットやドライバーを使うと危険なので、爪楊枝でコネクタを抑えたりしました。
細めのスパッジャーがあれば使うべきですし、割り箸や樹脂製の棒でも良いと思います。

R側も作業します

工程はほぼ同じなので割愛しますが、
2箇所注意ポイントがあるのでお伝えします。

殻割りは同じ。


バッテリーを外すのも同じ。

で、違う点その1。
中蓋の脇にアンテナのパネルがついてます。

ゆっくりと、線を切らないように中蓋の溝から外しておきましょう。
組み立てるときも、線を溝に入れていくのを忘れないように。

そして今回最大の大失敗ポイント。
やらかしました。皆さんは気をつけてください。
L側と違って、R側は中蓋のフレキを外すと、戻すとき非ッッッッッッッ常に苦労します。
なので、中蓋のフレキは外してはいけません。

具体的にどう苦労するかと言うと、フレキを戻すときです。
ここのフレキはとても短いです。なので基板が見える状態で挿すことが出来ません。
ピンセットでフレキをつまんで、反対の手で中蓋を持ち、
隙間から基板を凝視してZIFコネクタに挿しながら、フレキと一緒に中蓋を動かしていく…細やかなで確実な作業が求められます。
何度も失敗して手こずり続けて、ここだけで15分くらい掛かりました。

あとは普通にスティックを交換して、組み立て直して、終わりです。

完成!

R側は大変な思いをしましたが、組み上がってしまえば達成感に包まれます。
さあ、ちゃんと動くかNintnedo Switchに取り付けて確認してみましょう。

(オマケでついてきたスティックの肉球カバーをつけてみました)
スティックを弾いても勝手に歩き出さないので成功です!

作業してみて

エレキットの工作キットは、小学生のお子さんが作れるような設計をしています。
なので順番通りにちゃんと作れるようになっていますし、変なテクニックの必要な工程はありません。

一方で、こういった完成品として売られる機械は工場で熟練スタッフが作りますので、
部品点数や製造コスト、組み立て工数を削減するために様々なテクニックが使われています。
そういった技術や蓄積された技術の一端を感じられるのが、またそこに挑戦するのが、分解修理の楽しいところです。

ただし、製品を分解すると基本的にメーカー保証が無くなり、故障や事故、火災や死亡といった様々なリスクが発生します。
なので本来企業としてこれを紹介すべきでは無いのかもしれません。
安全に工作を体験するなら、リスクを極限まで減らして開発された工作キットを作るのが一番です。

それでも。私はこういった機械の分解を始めとした実験を通して様々なことを学び、育ってきました。
この記事が読んだ方の知的好奇心を刺激し、DIYやものづくりの面白さを知る切っ掛けになれば幸いです。
電子機器を改造する際はくれぐれも安全に注意して、時間をかけて丁寧にやってみてください。

なお、Joy-Conは無線で通信できる≒電波を発する機器です。
こういった機械を分解、改造、修理することは合法ですが、改造した機器から電波を発すると違法になる恐れがあります。
参考)総務省 電波利用ホームページ https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/monitoring/summary/qa/giteki_mark/
Nintendo Switchは機内モードにすることで、Joy-Conの無線通信を切ることができます。
機内モードにした上でwi-fiをオンにすることで、普段通りオンラインプレイも可能です。
当然テーブルモードやドックでは遊べなくなりますが、上の動画のように直接繋いで遊ぶことはできます。
スティックの修理に挑戦される方は、こういった法律についても勉強してみると良いと思います。

・Nintendo Switchは任天堂の商標です。
・Joy-Conは任天堂株式会社の登録商標です。

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