レポート

45/2A3 シングルパワーアンプキット [ TU-4523 ] リリース!

こんにちは、開発部のフヂです。
各地で地震や水害、酷暑が多発した夏がようやく過ぎようとしていますね。被災地の皆様には心よりお見舞い申し上げます。

さて、10月中旬に 45/2A3 シングルパワーアンプキット [ TU-4523 ] がリリースされる運びとなりましたので、ご紹介します。

2A3 は言わずと知れた音質では定評のあるポピュラーな直熱三極の名球ですが、45 はあまり馴染みがないなあ、という方も多いかも知れませんね。

“45” も直熱三極管で、1930年代初頭に登場したビンテージ管なのですが、 近年再評価されて複数のメーカーから復刻・再生産されている球です。非常に歴史が古い管なので2Wほどの小出力しか出せないにもかかわらず、繊細さと透明感溢れる音で、とくに海外で愛好家を根強く魅了しているといいます。そこで、フィラメント電圧が同じ 2.5V の 45 と 2A3 の両方が使用可能な TU-4523 が誕生しました。(真空管は付属していません。プリ管は 12AU7 です。)

まず外観と寸法は、当社フラッグシップモデルともいえる TU-8900 のシリーズとして統一されています。

45 のユーザーの指向を鑑み、2A3 との切り換えは自動ではなく手動を採用しました。本機はセルフバイアス方式で、カソード抵抗を切り換えるスイッチをトップパネル上に付けています。なお、誤って 2A3モードで 45 に通電し続けた場合はプレート電流が最大定格オーバーで 45 に負担がかかってしまう恐れもあるので、モード切り換えによって電源表示LEDの発光色が変わり認識しやすいように配慮しています。(45時 = オレンジ、2A3時 = グリーン)

また、45 と 2A3 では動作特性も異なるため、最適なプレート負荷インピーダンスも異なり、その切り換えも必要です。その切り換え手段はOPT(出力トランス)の一次側で行う方法と二次側で行う方法が考えられますが、TU-4523ではもし通電中に切り換えてしまっても安全な後者を採用しました。この場合はOPTの一次巻線のインダクタンスはインピーダンスが高い 45 に、巻線径とコアサイズは出力が大きい 2A3 側に合わせて設計する必要があるので、そのような仕様となっています。なお、使用するスピーカのインピーダンスによっても切り換えが必要なため、前述のカソード抵抗の切換スイッチとは別のスイッチを背面に配置しています。

出力管が三極管なので、NFBなしでも楽しんでいただけるよう、ジャンパーソケットによりNFBあり/なし の切り換えも可能です。なお、NFBなしに設定するとゲインが約8dBアップするためプリアンプなしで音源機器のライン出力を直接接続することも可能です。

もちろん他機種と同様、ヘッドホン(イヤホン)も使用可能です。電源部は定評あるB電源のリップルフィルタのほかに、直熱管なのでモジュールによるDC点灯で、へッドホンでもハムを気にせず楽しめます。小出力しか出せない 45 でも、ヘッドホンでは全く問題ありませんから秋の夜長にじっくり愉しんでいただければと思います。

 

ところで、このTU-4523が私が手掛ける最後の開発商品となりました。

三十数年の間、TUシリーズの多くの製品の開発・設計に携わり、時にはやや挑戦的な構成にもトライさせていただきながら、多くのお客様のおかげで想定していた現在のラインナップを形にすることができました。おかげさまで国内はもとより、海外のファンもたくさんできてエンジニア冥利に尽きる思いです。(実は海外向け専用モデルなんてのもあるのですよ。)

思えば中学生の頃にアルミの弁当箱で6RA5アンプや、管球式超再生トランシーバーなどを組んだのが原点だったのかも知れません。
そんな原点を思い返しながら、以前から温めていた「見た目が可愛いタマを使った、ポータブルストーブ型のアンプ」というアイデアも形にしてみました。

これまでTUシリーズを手に取ってくださった皆さま、そして長年にわたり支えてくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。ありがとうございました!

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