プログラミング教育 レポート

KOROBO Liteの授業実践 ~氷上情報教育研究会成果発表会に参加して

昨年に引き続き、2019年2月23日(土)に兵庫県にある園田学園女子大学にて行われた「氷上情報教育研究会成果発表会」に参加させていただきました。

 

氷上情報教育研究会は、兵庫県下の教員の方々が自主的に行っている研究会で、主に情報教育について活発な議論がされています。その歴史はいまから30年ほど前にも遡り、パンチカードやPC-8800シリーズなどと歩みを共にしてこられたとのこと。当日は若手の先生方からベテランの先生方まで幅広く参加され、研究会の歴史が綿々と受け継がれている様子が伝わってきました。私は午後のプログラミング教育研究会の部から参加させていただきました。

 

 

エレキットの新しい学びシリーズと題し、昨年からこれまでのPIECEの活動報告と発売されたばかりのKOROBO Liteのワークショップを行いました。

 

KOROBO Liteのワークショップでは、簡単な操作方法をご説明した後、次の問いに答えてもらうかたちで進行しました。

  1. 1秒前進、1秒後退を行う

  2. 1秒前進、1秒後退を3回続けて行う

  3. 1秒前進、1秒後退を無限回続けて行う

  4. 左の光センサがONになったら、一旦停止してバックして旋回(右回転)する

  5. 両方の光センサどちらかがONになったら、一旦停止してバックして旋回(右回転)する

 

 

2人1組でこちらからの問いに答えていってもらいました。ほぼノーヒントであったにも関わらず、話し合いによって次々と課題をこなしていく様子はさすがのひとことでした。若手の先生からベテランの先生まで、どの参加者も頭の回転が非常に早く、教材研究にも貪欲でいらして、研究会自体のレベルの高さを感じました。

 

続いて、兵庫教育大学附属小学校の藤原典英先生よりKOROBO Liteを使った授業実践の模様が共有されました。

 

4年生の授業で、「自動運転の車を走らせよう~協働学習を通じて新しい価値の提案を~」というテーマで計3コマで行われました。実践の概要は次の通りです。
 

第1時

  1. KOROBO Liteの概要説明

  2. KOROBO Liteを走らせてみる

  3. Palette IDEの概要説明

  4. グループで話し合い、街の地図を描く

  5. Palette IDEでプログラムを組み、思い通りに動くか確かめる

  6. うまくいかなかったところを確認し、プログラムを修正する

 

第2~3時

  1. グループで話し合い、街の地図を描く

  2. Palette IDEでプログラムを組み、思い通りに動くか確かめる

  3. うまくいかなかったところを確認し、プログラムを修正する

 

実際に児童の皆さんが描いた街の地図はこんな感じです。よく見ると、街の中には駐車場があったり、お店があったり、とまれの標識があったりします。そうしたギミックに対応した動きをするようにプログラムを組んでいきます。

 

 
今回の成果発表会では、児童の皆さんが実際に描いた地図に、参加者の皆さんもチャレンジしていきました。ちなみに今回は光センサは使わず、モーターの動きだけで走らせるという内容です。ロボットが各動作を行う秒数を微調整(試行錯誤)して、ゴールを目指します。
 
 

最初でこそぎこちなかった動きも… 

 

試行錯誤を通じて参加者が意図する動きを行うようになりました! 


 

最後に全員で各グループが組み上げたプログラムによるロボットの動きを共有しました。

 

実際に授業を行った藤原先生から児童に行ったアンケート結果が共有されました。

「プログラミングは楽しかったですか?」

  • 自分の目標に届くかどうか心配だけど、失敗しても挑戦して、成功させるのが楽しかったし、達成感があった

  • 思い通りに動かすのが難しくて、どういう風に動かしたらいいか考えるのが楽しかった

  • すごく考えても無理で、どんどんと何回もチャレンジするのが楽しかった

 

「チームで協力することで新しい考えや発想がうまれると思いますか?」

  • チームで協力することで、助け合えたりできるので、これはふだんの生活につなげられると思った

  • 1人じゃなくてグループでやると楽しいし、1人では考えられないことがあった

  • 最初は結構難しくて、思うように動かなくて困ったけど、あとからちょっとずつ動いてうれしかったから、もっとやりたいと思った

  • プログラミングは自由にできて、協力できるところもいい

 

これからの時代に求められるイノベーションを生むためのマインドセットとして、「とりあえずやってみる」「失敗から学び、前進する」「周囲を巻き込み協働する」といったことが挙げられるといわれています。今回の授業ではまさにそうしたことが実現されたのではないかと思います。藤原先生、ありがとうございました!

 

最後に篠山市教育委員会次長酒井宏先生から締めのお言葉がありました。いくつか共有したいと思います。

 

これから行われるプログラミング教育は先生にとっても児童にとってもはじめての教育となる。教師としてはどうしても自分が優位に立ち、「教える」というスタンスに立ちがちであるが、児童といっしょに授業をつくっていくといった姿勢が重要なのではないか。

今回の成果発表会において共有された授業実践の模様を見ていても、児童が組んだプログラムに対して教師の前向きな声がけが非常によいと思った。例えば今回ワークショップとして行ったロボットプログラミングでも誰よりも早くゴールに到着したら評価が高くなるんだろうか?教師側が望むことを行った児童の評価が高いとは必ずしも言えないように感じた。評価の仕方も十分に研究していかなければならないと思う。

 

今年も私たちにとっても大変学びの多い発表会でした。お招きいただきありがとうございました!

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