レポート

STEAM教育体験講座ミニを開催しました

令和を迎えた今年のゴールデンウィーク。イーケイジャパンは宗像ユリックスで「STEAM教育体験講座ミニ」を開催しました。今回はその模様をお伝えしたいと思います。

 

 

STEAM教育体験講座は自治体と協力し、毎年夏休みに行っている工作イベントです。今回は夏の前哨戦として、令和元年!10連休!と賑わうゴールデンウィークに開催しました。

結論から言うと、100名の定員に対して96名の方にご参加いただき、会場は大変な賑わいをみせていました。

 

 

STEAMってなに?

STEAM(スティーム)とは、Science・Technology・Engineering・Art・Mathematicsの頭文字からなる造語で、各分野を統合的に学び、専門を越境して活躍する人材を育成するための世界的に注目を集める新しい教育モデルです。

もともとSTEM(ステム)と呼ばれていた教育モデルでしたが、昨今、Artの重要性が様々なシーンで紹介されるようになりました。人工知能の進化など近年の急速な情報化社会において、科学・技術を正しく用いるためには倫理や哲学が重要になっていますし、科学・技術のみを追求して単に大量生産する時代はとうの昔に終わっていて、人間を中心に考え、共感を生むためのデザインが重要になっていたりします。

そして、STEMにしてもSTEAMにしても、単に専門性を磨くだけではなく、STEAMの各要素を統合的に学び、専門分野を越境してイノベーションをおこしていくことの重要性はますます高まっているのです。

 

 

STEAMとエレキット

エレキットにはそうしたSTEAMの要素がつまっています。

自分の手でキットを組み立てていく過程でキットが動く仕組みを理解できるようになっています。例えば、太陽電池で動くキットでは、光のエネルギーを電気のエネルギーに変えるために科学や技術が使われています。電気のエネルギーでモーターを回転させてギアに力を伝えていってキットを動かし、制御するためには工学や数学が必要になります。また、キットを組み立てるには説明書を正しく読み解かなければいけませんし、工具を正しく使わなければなりません。芸術的な要素も必要ですね。遊んでいるうちに自然にSTEAMを体験できるのです。

そして、個人的には組み立てたキットを遊び倒してもらって、キットをつくる中で体験したSTEAMを自分だったらくらしの中でどういう風に使うだろう?ということを考えてみてほしいと思っています。STEAMの実践ですね。そこが一番大事な部分だと思っています。

 

 

エレキットの「STEAM教育体験講座」では、キットの組み立て方を丁寧に指導することを通じて、工具の使い方や動力源のしくみ、部品や機構の意味や意義にも触れ、これらの技術やしくみが暮らしの中でどのように活かされているかという「気づき」に導きます。それではイベントの内容を見ていきましょう。

 

STEAM教育体験講座

基本の工具セット

工作前に工具の基本セットを設置します。机を傷つけないためのゴムマット、開封するときに使うはさみ、工作に使う工具、小さい部品を入れておくための紙皿。工作の環境を整えることも工作する上でとても大事なことです。

 

 

工具の正しい使い方

まずは参加者の皆さんと工具の正しい使い方を確認します。最もよく使うニッパーの使い方では、ニッパーにはオモテ面とウラ面があること、ランナーから部品を切り出すときには、ニッパーのウラ面を部品に押し当てて切ることを注意喚起します。

 

 

正しく工具が使えているか、サポートスタッフはそっと見守ります。

 

 

ランナーのきれっぱしが部品に残ったままになっているものを「バリ」と言います。バリが残っていると部品がひっかかってしまってうまく動かないのです。当社に寄せられる動作不良の原因の8割はバリによるものです。何度も何度も「バリは工作の最大の敵!」と唱和しながら進めていきます。

 

 

工作開始

イベントは進行役が1名、サポート役が2~3名で進めていきます。今年は自治体が発行する広報誌などを通じてサポートスタッフを募集しました。宗像市では退職されたシニアの方を中心に4名の方が参画してくれています。

「これまでロボスクエアで行われていた工作教室に孫と参加していたが、孫も大きくなったので、これからは教える側にまわりたい」「子どもに工作を教えるのが好き。教えることをもっと学びたいと思って」など、様々な動機で参画していただいています。今年の夏にはサポートスタッフの方が自立して運営いただけるよう、研修を行っているところです。

 

 

お父さん、お母さんも私たちのとても心強いサポーターです。細かい部品の取り付けやバリの処理など、お子さんでは難しいことをすかさずサポートいただいています。こうしたサポートは、お父さん、お母さんがお子さんにとってスターになれるきっかけにもなっています。

 

 

工作で分からないところはサポートスタッフがサポートします。説明書を正しく読み解いていくことも、空間把握力や論理的思考力を養うという意味で大きな学びにつながります。

 

動作確認とトラブルシューティング

組み立てたキットが正しく動くか動作の確認を行います。これまでがんばって作ってきたキットが正しく動くのか?参加する側も開催する側としても最も緊張するステップです。

 

 

正しく動かない場合はトラブルシューティングを行います。参加者全員のキットが必ず動く状態にして帰っていただきます。正直、開催する側からすると、このステップはイベント最大のボトルネックになってしまうので、できるだけ避けたいところです。進行役の腕のみせどころです。当社ではキットごとにひっかかりやすいポイントを整理していて、工作中その工程で繰り返し注意喚起することでトラブルシューティング数を減らすことができることがわかってきました。トラブルシューティングゼロを目指して、日夜研究を重ねています。

 

 

学びポイントの共有

 

イベントで作ったキットの動く仕組みで大事なポイントを「学びポイント」として振り返ります。参加者のほとんどは小学1~4年生なので、伝える内容や伝え方には工夫が必要です。例えば、太陽電池の仕組みを説明しようとした場合、本当の仕組みを伝えようとすれば、少なくとも高校の物理(しかもかなり後半)を学んでおかなくては正しく説明することはできません。そうした原理を小学生にも分かるように、これだけは知っておこうというポイントに焦点を当てて伝える必要があります。

 

太陽電池の仕組みで言えば、

  • 光のエネルギーを電気のエネルギーに変えることができる部品のことを太陽電池と言います

  • 強い光からは強い電気のエネルギーが作られますが、弱い光からは弱い電気のエネルギーしか作られません

  • 今日作ったキットを動かすためには強い電気のエネルギーが必要です。だから、弱い光である懐中電灯や蛍光灯、スマホの明かりくらいでは動かすできません。太陽の直射日光や動作確認のときに使った白熱灯、プロジェクターの光などでも動かすことができるので、あとで確かめてみましょう

  • 効率よく電気のエネルギーに変えるためには光の向きと太陽電池が直角になるようにすることが大切

といった具合です。

 

 

そして、生み出された電気のエネルギーでモーターを回して、いくつかのギアに力を伝えて、力を大きくすることではじめてキットを動かすことができるといった説明をします。自分の手で作ってきたからこそ、「モーターに取り付けたあの小さなギアの回転が動きのもとになっているんだ」「苦労して作ったギアボックスにはそんな意味があったんだ」という風に理解しやすくなるのです。

 

 

イベント終了後には作ったキットで早速遊んでみます。

雲の影になっているところでは動きが悪いから日の光があるところを探したり、太陽電池の向きを調整してよく動くようにしたり、学びポイントの中で説明したことを理解して、自然と遊びながら学ぶを実践している子どもたちの様子には感心します。

 

 

アンケートの結果の一部をご紹介します。イベントの趣旨が伝わっているようで安心しています。

個人的には最後のコメントが印象的です。ゲームやインターネットなど子どもたちがふれるエンターテイメントが多様化する中で、このイベントが少しでもものづくりに興味を持つきっかけになれば、と願っています。

  • バリ取りの大事さなど作り方のポイントを教えてもらえてよかった

  • ニッパーなど工具の使い方を教えてもらえてよかった

  • 太陽電池、燃料電池の発電のしくみや赤外線のしくみを教えてもらえてよかった

  • 親子で取り組む良い機会になった

  • (お母さんが)家では教えられないため、丁寧に教えてもらってよかった

  • 分からないとすぐにプロに質問できるところがよかった

  • 完成したときの子どものうれしそうな表情が印象的だった

  • 子どもがゲーム以外のことに集中して取り組む姿が印象的だった

 

今年の夏休みには宗像・太宰府・筑後の3拠点での開催が決定しています。当社にとっての今年のテーマは「地域の方によるイベントの自立的な運営」。地域に住む方を当社がサポートをすることで、地域の中でイベントが運営される状態を目指します。現在、先にも紹介したシニアの方の他に、学童保育の指導員の先生、地域の工業高校の生徒さんなど、様々な方が手を挙げてくれています。こうしていくことで、持続可能なイベント運営が可能になるはず。その模様はまた別の機会にご紹介できればと考えています。

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